上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
→便通は体調のバロメータ - 体は“空(から)だ”・3

現代医学では、たとえば高血圧と胃潰瘍と診断された場合、高血圧は高血圧、胃潰瘍は胃潰瘍と、それらの相互関係をあまり念頭に置くことなく、それぞれの病気に対する薬剤を選択します。

その結果として、両者の薬剤を組み合わせることになりますが、処方する以前の段階から、組み合わせ方を慎重に考えなければならないという、強い自覚があるわけではありません。
処方した後も、このように組み合わせたという、はっきりとした意識はあまりありません。

高度のレベルで行われる特別な場合や、副作用など要注意の場合を除けば、組み合わせ方自体に対するルールや工夫が、必ずしも最初からあるわけではありません。
薬剤の効能がより微細なレベルに関わってくるようになれば、それとも体全体で論じられるようになれば、いずれはそのような配慮が必要になってくるでしょう。
一つの生薬だけにも多数の成分が含まれているわけですから、まして生薬をブレンドした漢方薬には、主要な成分だけではなく、もっと数多くの成分が含まれることになります。

このような決定的に異なる側面を有するために、現代医学と漢方医学とを不用意に比較することは、軽率であると指摘されかねませんが、現代医学を念頭において、漢方医学を類推すると、次のようになります。 

漢方医学の病態の把握の仕方が、鍵と鍵穴のように、原因と結果という一対一の因果関係だけで完結するのではなく、様々な要因の相互作用の中から、ある一定の病態や症状が現われてくると考えていたことが推量されます。
便秘という症状も、単一の決まった原因のみによって起きるだけではなく、直接関係ないように見える、複数の要因や種々の状況の中から生じて来ると考えていました。
そこで一つの症状に対しても、数多くの漢方薬があるわけです。

医師や薬剤師にとっては、証と呼ばれる選択基準にしたがって、その中から最適の漢方薬を選択することが、腕の見せ所となります。

それでは証とは一体何でしょうか。

漢方薬は二種類以上の生薬を、組み合わせてブレンドした薬です。
それでは漢方薬は、いろいろな生薬の効能を、ただ足し算したものでしょうか。
そのような簡単な話ではないために、証が考案されたと推量できるのではないでしょうか。

証は、その漢方薬がどんな病状に有効であるかを示しています。
裏を返せば、漢方薬を組成している、それぞれの生薬がどのような効能を示しているか、組み合わせた結果、漢方薬全体としてどのような病状に有効であるかということに基づいて、証が成立していることを意味しています。

また漢方薬の効能書きに便秘という表現がなくても、便通以外のその他の体調がととのうことによって、便秘が軽快することもあります。
便秘そのものに効果のある生薬がはいっていない場合であっても、全身の状態を調えることによって、おのずから大腸や胃腸の働きも是正されて、便通がつきます。

人によっては、たとえば蕁麻疹で漢方薬をのんだところ、思いもかけず便通がよくなった。
さては、これまで気がつかなかったけれども、今までの自分は、いわゆる便秘であったのかもしれない、などという話になることも珍しくありません。

このことは、必ずしも便通に限らず、その他の様々な不定愁訴についても言えることです。
病因と病状という、一対一の因果関係の明白な現代医学からみたとき、漢方薬の作用はこのように多様に感じられ、科学的な説明が不可能ということになりやすいといえます。
個々の生薬の主要な作用が判明したとしても、方剤全体の効能としてはある種の不可解さを伴い、漢方は非科学的であるという印象を与えてしまいます。

現在では、代表的な漢方薬や生薬については、成分や薬理効果が明らかにされているために、必ずしも非科学的であるというわけではありません。
しかしだからと言って、漢方薬全体として、あるいは漢方という古代医学そのものが、現代科学によって全面的に解明され、認められたというわけでは決してありません。


内科・漢方外来 - 神奈川県横浜市 -
渡部内科医院
関連記事
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。