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2010.11.14 はじめに
このたび、渡部内科医院のブログを開設しました。
やさしい漢方医学の話 『命の医学』や、漢方薬や生薬の話、日頃の診療風景や新しい診療情報などを掲載します。
適宜更新していきますので、ホームページとともにご覧ください。

内科・漢方外来 - 神奈川県横浜市 -
渡部内科医院

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命の医学~漢方と体の自然なしくみ~
はじめに

現代医学では、命そのものについて語られることがありません。
これに対して、
「命そのものが体内に存在する。」
そのような大前提に立って出発し、創案され発展した古代医学が漢方です。
現在の日本では漢方と言えば、とかく漢方薬だけが話題になってしまいます。
しかし漢方とは漢方医学のことであり、漢方薬はあくまで、その治療手段の一分野にしか過ぎません。
それでは私達の体に、命はどのように宿っているのでしょうか。

職場や地域の健康診断や、病院の検査では異常がない。
それなのに、疲れやすい、胃腸が弱い、生理が不順など、多くの人達が健康上問題を抱えています。
検査で判明する客観的なデータと、主観としての実感(体の感覚)が、なぜこのように喰い違ってしまうのでしょうか?

その理由を探るためには、現代医学の限界について検討する必要があります。
その一つの鍵が古代漢方医学に秘められています。同じ医学ではあっても、古代と現代とでは、人体や人間についての考え方が大きく異なるからです。
残念ですが、古代医学である漢方の考え方を、現代科学によって実証することは、今のところ不可能です。
本ブログでは古代人の立場に戻って、古代では、私達の体をどのように考えていたかを検証していきます。
漢方薬についても、そのような見方から説明してみます。

漢方は、中国では中医学(中国伝統医学)として伝承されています。中国の伝統医学は、時として「気の医学」と呼ばれることがあります。
「体内をエネルギーである気が巡っている。」
人体の基本的な認識に、このような考え方があるからです。
ところがこの背後には、命という一大命題が潜んでいます。
さらにその背景には、古代人が抱いていた人間観、自然観、宇宙観が大きく広がっています。

本ブログでは漢方を命の立場から見詰め直し、「命の医学」として語っていきます。
命を前提に置くことによって、私達が日頃見失ってしまった、自然な体の仕組みを見い出すことができます。
心臓や肺や肝臓などのパーツパーツの寄せ集めとしての人体ではなく、全身で感じる健康観を語ることができるようになります。
漢方に興味のない人でも、自分の体や健康に関心のない人はいないはずです。

自分自身である体を実感しつつ、毎日の健康管理に役立ててください。

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第1章 人間の一日の自然な姿

私達の一日の、自然なそのままの姿について観察し考えてみます。
私達人間は、朝起きて夜寝るまで、一日をどのように過ごしているでしょうか。
改めて考え直すまでもありません。ごく決まりきった姿です。

ところが、この一見当たり前として見過ごされてしまう、自然な生理現象の中にこそ、生活の基本となる体の仕組みの根幹が隠されています。
古代中国人は、人間の生きているそのままの姿に注目し、体の仕組みを洞察し把握して、漢方という古代医学を創案しました。

ふだんの生活における、そのままの自分自身を振り返りながら、自身である体について考ていきたいと思います。
これらに関連する、漢方薬や漢方の基本となる考え方についても触れていきます。


《第1章 人間の一日の自然な姿 目次》

【1】 朝の目覚め
【2】 朝食を取る
【3】 便通は体調のバロメータ ― 体は“空(から)だ”
【4】 肩がこるとき
【5】 ドライアイ
【6】 長引く口内炎
【7】 体力不足と冷え性 - バッテリーの容量
【8】 過労死の原因はバッテリーが急激に上がるため
【9】 お酒を飲めば
【10】 睡眠は自然のエステ
【11】 肌の荒れはなぜ起きる

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【1】 朝の目覚め

目覚ましの音が、けたたましく鳴り響いています。
ぐっすりと眠りこんでいる最中に、いやおうなく、たたき起こされてしまいました。心も体もまだ眠ったままです。ようやく時計に手が届いて、目覚ましの音を消しました。
でも、まだまだ意識は朦朧としており、体はもっと眠りたいとしきりに叫んでいます。もう一度眠り込んでしまいそうな意識を、無理やりたたき起こして、ようやく目を覚ましました。


こんなに眠たいまま起きてしまった場合、体はどんな状態になっているでしょうか。少なくとも、昨日の疲れがまだ残っていることは確かです。
それではその逆に、一晩ぐっすりと熟睡して、眼覚めた朝はどうでしょうか。もちろん体は快調です。なぜなら、十分な睡眠を取ることによって、昨日までの疲れや肩のこりや、ストレスやいやな思いなどが解消されてしまうからです。

家の掃除にたとえて言うと、次のようになります。
部屋中に散らかっていた紙くずやティッシュや綿ぼこりなどが、全部掃除されて消えてなくなりました。乱雑にちらかっていた、新聞や雑誌もきれいに整頓されました。
まるで誰かが一生懸命掃除してくれた直後のように、部屋中がピカピカに光っています。
どの部屋も大掃除されて、家全体がきれいに片付きました。
体は頭のてっぺんから足の先まで、すみずみまで大掃除され、すっきりと整理整頓されて、体にとって一番いい状態にまで回復しました。 

このように、人間の体には、眠っている間に昼間の疲れが一掃されて、翌朝には、気分のいい快適な状態にまで回復するという仕組みがあります。
このような働きによって、体自身が日々健康に維持されていることが理解できます。
熟睡した休日の朝など、目覚めたまましばらく布団に横たわって、思わず寝覚めを楽しんでいることがあります。

「ぐっすり眠ったなあ、、、」

そんな解放感とともに、昨夜まで何となく気になっていた腰のはりや、肩のこりなどが取れて、全身がまるで焼き立てのパンのように、ふかふかと気持ちよく蘇っています。
ぐっすり熟睡するとは、少々の地震や雷鳴があったことなどまったく覚えていないくらいに、体と心の芯から眠り呆ける、眠りこけることを意味します。
ぐっすり眠ったか、それとも睡眠が浅いかは、自分自身にとっての自覚的な判断ですから、自分だけにしか分かりません。
ただ熟睡した朝の顔は、どこかゆったりとしており、円満な顔立ちに戻っています。

眠たいまま無理に起きてしまえば、掃除の真っ最中に掃除が中断されてしまい、ほこりだらけのまま散らかったまま、眠たい眼をこすりながら起床することになります。
この状態は決して病気ではありません。けれども体にとって最良の状態ではないことも確かです。もっともっと必要な体のメンテナンスが完全に終わらないうちに、体を放り出したままの状態です。

このような中途半端な状態だと、会社に出かける時にもまだ眠たかったり、肩がはっていたり、肌が荒れていたり、頭が重かったり、何となくぼんやりとしています。生理が不順であったり、アトピーなどが悪化したりしています。心も何となくすっきりしません。
通勤電車の中でもう一度ひと眠りしたり、会社に向かう途中で、気持を奮い立たさなければなりません。

このように観察してくると、熟睡することによって、知らず知らずのうちに、人間は体調、そして心の状態を万全に調えていることが分かります。
目には見えないけれども、睡眠にはこのような大切な働きがあります。疲れが取れるだけではなく、引きかけていた風邪や軽い鼻風邪であれば、一晩ぐっすり眠るだけで治ったりします。
このような効果があるために、一昔前までは、このような効力を自然治癒力(しぜんちゆりょく)と呼んでいました。

現代医学にはこのような用語はありません。自然治癒力が、現代医学的な手法によって、ホルモンなどのように一つの物質として単離され、その存在が証明されたわけではありません。その意味では現代医学的に認めることができないことも、十分に納得できます。

しかしそれはそれとして、あくまでも一つの考え方ですから、体に関わる大切な文化の一つとして、自然治癒力という考えが、人々の考え方の中に存在していても決しておかしいことではありません。
現代科学によって証明されれば、なおのことその価値が高まるでしょう。しかし、証明されないからと言って、すぐにすべてを捨て去ってしまえばいいというものでもありません。

自然治癒力を、このようにはっきりと齎してくれる睡眠という働きは、体自身を健康に維持するための、基本的な体の仕組みであると捉えることができます。
体だけではありません。いやな思いや記憶が消えたり、ストレスなども軽減します。
どうしても消えない思いのために、一晩中悶々として眠れない。そんな不愉快な思いや嫌な人物の顔も、ぐっすり熟睡するだけで消えていってしまいます。

このように熟睡という生理機能は、体だけではなく、心にとっても心の健康を回復する、大切な仕組みであることがよく分かります。
熟睡によって心身が最良の状態に調うため、目が覚めたときに感じる、体と心の感覚が最良の体調を表しています。
このように考えると、自分自身で実感する熟睡感が、健康上の、自分自身の基準となる基本的な感覚です。
もう少し広く表現すれば、熟睡して目覚めた朝の心身の実感は、自分自身の生存の基本感覚です。
熟睡すれば体の快適な感覚とともに、心もどこか満たされて穏やかです。


朝の目覚めは、一日の体調のバロメータです。
今朝の目覚めはいかがでしたか。

→朝の目覚め・2へ

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年末年始は下記の日程で休診となりますのでお知らせいたします。

【休診日】
2010年12月29日(水)~2011年1月4日(火)まで

また、11月30日(火)の受付は11時に終了します。

何卒、ご了承下さい。

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